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2024.11.15

香りと記憶の素敵な関係

香りは、不意に記憶の扉を開けることがあります。例えば、ある日、街を歩いているとふと漂ってきた花の香りが、何年も前に訪れた庭園の情景を鮮明に思い出させたり、香ばしいパンの匂いが子どもの頃の朝食の風景を蘇らせたりする。こうした経験は、多くの人に共通しているのではないでしょうか。このように香りが記憶を呼び覚ます現象は、脳の仕組みによるものであり、「プルースト効果」とも呼ばれます。

嗅覚の信号は、他の感覚とは異なり、脳の「大脳辺縁系」という部位に直接届きます。この大脳辺縁系は、私たちの感情や記憶を司る部分であり、その中心には「海馬」と「扁桃体」があります。香りが届くと、そこから連鎖的に過去の出来事や、香りとともに感じた感情が蘇ってくるのです。そのため、香りが引き出す記憶は、視覚や聴覚よりも強く鮮明に感じられることが多いのです。

「香り」というのは、どこか曖昧で、目に見えない存在です。それなのに、嗅覚が私たちに訴えかける力は強力です。ある香りをかぐだけで、幸せだった瞬間や、懐かしい人のぬくもりが心に宿るような感覚が得られるのです。香りの力は、時間を超えて、私たちをある特定の瞬間や気持ちに引き戻します。それは、まるで長い時間の中で織り成された一篇の詩のように、私たちの心に深く刻まれているのです。

こうした嗅覚と記憶の関係を知ると、香りの選び方も変わってくるかもしれません。日常の中で何気なくかぐ香りにも、それぞれが織りなす物語があり、それぞれが私たちの心に小さな記憶を刻んでいます。





SHO ISHIZAKA/石坂将
フレグランスプロデューサー/株式会社セントネーションズ 代表取締役。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。