忘れられない香りを忘れる方法 – SHOLAYERED スキップしてコンテンツに移動する
通貨

SEARCH

SHOP

ACCOUNT

CART

ジャーナル

JOURNAL

2024.11.20

忘れられない香りを忘れる方法

香りにまつわる記憶は、時として強烈で、心の奥深くに染み渡るものです。ある香りを嗅ぐたびに、過去の誰かや特別な瞬間が鮮やかに甦り、まるで時間が巻き戻されるかのように感じられることもあります。香りは見えないながらも、記憶や感情と密接につながっている。だからこそ、「忘れられない香り」を忘れることは、決して簡単ではありません。それでも、その香りと少しずつ向き合い、心に折り合いをつけていく方法があるのです。

まず、その香りが自分にとってどんな意味を持っているのかを見つめることから始めます。その香りが呼び起こす記憶は、誰との思い出なのか、どんな感情がそこに宿っているのか。香りは特別な人や場所、出来事と強く結びついているからこそ、その関係性を整理し、過去に対する理解を深めることが重要です。少し距離を置いて振り返ることで、香りに囚われていた感情がわずかでも軽くなるかもしれません。

次に、新しい香りを生活に取り入れてみるのも一つの方法です。まとう香りを変えることで、気分や視点が変わり、心が新しい方向へと向かいやすくなります。たとえば、以前はフローラルの香りが身近だったなら、ウッディな香りやシトラスの香りなど、まったく異なるジャンルの香水に挑戦してみるのも良いでしょう。新しい香りが新たな記憶と結びつき、古い香りへの執着が少しずつ和らぐかもしれません。

また、その香りを思い出す瞬間に、新しい行動やアクティビティを取り入れることも効果的です。たとえば、その香りを感じたら、好きな音楽を聴いたり、気持ちが落ち着くアロマを焚いたり、体を動かすなど、新しい刺激を自分に与えてみるのです。そうすることで、過去の記憶が蘇るたびに新たな感覚が重なり、少しずつ古い記憶の影が薄れていくことでしょう。

それでも、時には香りがどうしようもなく心を揺さぶる瞬間があるかもしれません。そのときには、自分を責めたり無理に忘れようとせず、香りと共に過ごした思い出も自分の一部として受け入れることが大切です。「忘れる」ことは簡単にはできないかもしれませんが、時間と共に少しずつ心が整理され、香りが持つ重みも和らいでいくものです。

「忘れられない香り」は、きっとそれだけ大切な存在だったのでしょう。その香りが過去の自分と結びつきながらも、新しい香りや体験を通して、未来の自分を形作っていく手助けになる。香りと記憶の旅を経て、やがて心の中で柔らかな変化が訪れる日が来るはずです。





SHO ISHIZAKA/石坂将
フレグランスプロデューサー/株式会社セントネーションズ 代表取締役。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。