これまで動物系香料の代表的なムスク、アンバーをご紹介してきました。
今回はシベット、カストリウムという香料について
そして、動物系香料の役割について書いていきます。
まずはシベットです。
ジャコウネコという主にエチオピアの農場に生息している動物が怒ったときに排出する、黄白色のペースト状の分泌物です。
非常に強烈な糞便臭を放ち、とても良い香りとは言えません。
しかし、実はこの香り成分は、花の香りの中にあるくさい匂いと同じものなんです。
意外と身近に香りが存在していることに驚きますよね。
そして、これは高品質な香水に使用されています。
続いてはカストリウムです。
こちらは、カナダやロシアに生息するビーバーから採取されます。
肛門近くの香のうの黄褐色のクリーム状な分泌物を乾燥させたものです。
ビーバーはこの匂いでマーキングして、縄張りを示す為に使います。
香りはレザー系と表現されます。
レザーの独特な香りは、お宅に革製のライダースなどがあれば香って体感していただくのが一番かと思います。
苦い風邪薬にシベットよりも弱い糞便臭をブレンドした印象や、タバコの様なスモーキーな要素も持ち合わせた香りです。
シベットの代わりに使われることが多いです。
3回に渡って代表的な動物系香料四種「ムスク」「アンバー」「シベット」「カストリウム」をご紹介してきました。
動物系香料は単体ではとても良い香りとは言い難いものばかりです。
しかしながら、ほんの僅かに加えるだけで、官能的な香りと共に他の香りを引き立たせ、
香りに広がりと奥行きを付加し、更に持続性も高まります。
この異臭とも言える香水とは縁のなさそうな物質たちを、どうやって良い香りに取り入れようか?と考えた先人たちに驚かされますよね。
そして、現代の調香師たちも「良い香りに一滴たらした時、劇薬の様な変化をもたらす異臭」を探しています。
香りの面白くて奥深い世界を更に楽しんでいただく一端となれば幸いです。