「ムスクの香りありますか?」
これは、店頭で最もよく聞かれる質問です。
様々なブランドで発売されているため、香水の有名なワードの一つですし、お好きな方も多いでしょう。
「絶世の美女がムスクの香りをまとっていた」という逸話があるほどフェロモンのような効果があることも知られています。
しかし、ムスクが実際どういうものなのかはご存知でない方が多いのではないでしょうか?
香料は大きく、植物系香料と動物系香料に分かれています。
ムスクは動物系香料にあたり、他に代表的なものとしては、アンバー、シベット、カストリウムがあります。
これらは元々、動物の内臓や肛門近くの分泌物、体内に滞留しているものを由来としています。
ムスクの場合は、雄のジャコウジカの香のう(ジャコウ腺)という分泌腺から採れるものになります。
現在は、ワシントン条約で野生動物保護のためにジャコウジカの捕獲が禁止されており、
合成香料で世界各地の調香師たちが再現しています。
動物系香料のみでは決して良い香りとは言い難いですが、
例えばグレープフルーツ100%の精油に1滴のムスクを入れることで、爽やかさの中に奥行きが出て、香りにストーリーが生まれます。
レイヤードフレグランスではムスクをバニラと組み合わせていますが、他のブランドではグレープフルーツと組み合わせていたりします。
出来上がる香りのイメージは全く異なるけれど、どちらも「ムスクの香り」なのは面白いですよね。
今回はムスクについて書いてみまました。
動物から採れるものが由来と知って、見方が変わった方もいるのではないでしょうか?
様々なブランドの香りを試して、自分の好きなムスクの香りを探してみてください。
奥深い香りの世界を更に楽しむきっかけになれば幸いです。