
一日の終わりに、部屋の灯りを落とし、静かにグラスを傾ける。
そんなときに似合うのは、アンバーの香りだ。
甘く、スパイシーで、どこか官能的。
それはまるで、夜の闇に静かにともる暖炉の炎のような香りだ。
アンバーは、時にバニラのように柔らかく、時にスモーキーなミステリアスさを持つ。
肌にのせると、体温とともにゆっくりと香りが広がり、深い余韻を残していく。
昼間の香水が軽やかな風のようなものだとしたら、アンバーはまさに「夜に寄り添う香り」だ。
私は旅先で、香りと記憶が密接に結びつくことを何度も経験した。
特に寒い冬の夜、モロッコの市場で嗅いだアンバーとスパイスの混ざった香りは、今でも鮮明に思い出せる。
あのとき感じた異国の空気、足元に広がる絨毯の手触り、人々のざわめき
——すべてが、アンバーの香りとともに蘇る。
香水の中でも、アンバーは「余韻」を大切にする香りだ。
つけた瞬間の華やかさよりも、時間とともに深まるその変化こそが、この香りの魅力なのだと思う。
暖かく、濃密で、どこか夢のような香り。
アンバーの香りをまとうと、夜はより深く、そして心地よくなる。
SHO ISHIZAKA/石坂将
フレグランスプロデューサー/株式会社セントネーションズ 代表取締役。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。