今回は、前回のムスクに引き続き、香料の「アンバー」について書いていきます。
アンバーグリス、竜涎香とも言います。
アンバーもムスクと同様、動物系香料になります。
動物系香料とは何か?については、過去のブログで書いているのでぜひ読んでみてください。
アンバーは、マッコウクジラの腸内結石を原料としています。
マッコウクジラは海での生活で様々な生き物を捕食しますが、消化しきれないものも出てきます。それらが体内で凝固して結石となるのです。
捕鯨による採取で直接取り出されたアンバーは糞の臭気が強く、非常に質の低いものとなってしまいます。
深海で生まれ、海の上で水・風・太陽の力で長い年月をかけて臭みが抜けて香りが良くなっていったもの。
それが海岸に流れ着いたものが発見される、正に「偶然の産物」な香料です。
これを粉末状にして使います。
現在はマッコウクジラの乱獲による個体数の減少に伴う捕鯨禁止で入手困難な為、代用品や合成香料が用いられることがほとんどです。
スモーキーでウッディな香りで、タバコやお線香の様な印象を受けます。
動物系香料単体では、最も受け入れられやすい香りだと思います。
ただ、香りのインパクトは強いので、強い香りが苦手な方はお好きではないかもしれませんね。
アンバーは、合成香料であっても強めると茶色が出てきます。
従って、アンバーを効かせた香水を作ろうとすると茶色みを帯びてきます。
別な香料では、シトラス系は黄色がかっていることが多いです。
こういった香料の色を除去しようとすると香りが変わってしまうため、
アンバーが効いた香水であれば全く違う色、例えば緑などに綺麗に着色することは難しいのです。
今回はアンバーについて書いてきました。
LAYERED FRAGRANCEにはアンバーを使用した香りはありません。
それは、「さり気なく香り、クセになる」というコンセプトに基づいた香り創りの考え方によるものです。
過去のブログで詳しく書いていますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
香りの世界を更に楽しむきっかけになれば幸いです。
ジャーナル