
朝の光がカーテン越しに差し込み、まだ冷たい空気の中に新しい一日がゆっくりと目覚めていく。
そんな朝に、私は決まってシトラスの香水をひと吹きする。
ベルガモットの軽やかさ、レモンの鋭いきらめき、オレンジの甘やかな温もり。
それはまるで、目の前に新しい扉が開かれるような、そんな気分にさせてくれる香りだ。
シトラスの香りほど、無邪気でありながら計算された洗練を感じさせるものはない。
シンプルであるがゆえに、その奥に潜む職人の手仕事が光る香り。
夏の暑い日にまとえば爽やかな風を運び、冬の寒い朝には冷えた肌をそっと励ましてくれる。
まさに、香水の世界の「はじまりの香り」なのだ。
子どもの頃、祖父の庭には夏になると青々とした柑橘の木が並んでいた。
手を伸ばして小さなミカンをもぎ取ると、指先にじゅわりと弾ける果皮の香り。
その瞬間の感覚が、私は今でも忘れられない。
だからかもしれない。
シトラスの香りをまとうと、無意識のうちにその記憶が呼び起こされ、心のどこかが軽くなるのを感じる。
香水を選ぶとき、シトラスはいつも私に「大丈夫、気楽にいこう」と言ってくれる気がする。
仕事で緊張するときも、遠くへ旅に出るときも、この香りがそばにあれば、きっと大丈夫。
そう思わせてくれる香りこそ、私にとってのシトラスなのだ。
SHO ISHIZAKA/石坂将
フレグランスプロデューサー/株式会社セントネーションズ 代表取締役。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。