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2024.11.18

香りを纏って忘れられない人になる

香りをまとって、忘れられない存在になる。そんな願いは、誰しもが一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。香水は目に見えないけれど、その人を際立たせる一種の「オーラ」のようなもの。ふと漂う香りが人の記憶を呼び覚まし、心に刻まれたその人の存在を鮮やかに引き出します。では、どうすれば香水を通して、誰かの記憶に永遠に残るような存在になれるのでしょうか。

まず、自分だけの「シグネチャー・フレグランス」を見つけることが大切です。多くの香りの中から、自分の個性や雰囲気に合った香水を選び、それを自分の「定番」として使い続ける。そうすると、いつしかその香りが「あなたそのもの」として認識され、香りをかぐたびにあなたの姿が相手の心に浮かび上がるのです。ふとした瞬間に香りが記憶をよみがえらせる魔法は、このシグネチャーを持つことで強まります。

香りの使い方もまた、忘れられない人になるための鍵です。香水はつけすぎず、控えめに纏うことがポイント。手首や首筋など、体温が高い部分に少量つけて、自然にふわっと漂う程度に留めると、近くにいる人だけに届く「ささやくような香り」を演出できます。過剰な香りよりも、ふとした瞬間に香るほうが、記憶に残りやすいもの。特別な香りがふわりと相手に届くと、香りがまるで心に触れるような感覚を生み出します。

さらに、香りを特別な瞬間と結びつけることも効果的です。大切なデートや特別なイベント、ふたりの忘れられない時間にだけその香水を使うと、その瞬間が香りとともに相手の心に深く刻まれます。季節や時間帯に合わせて香りを変えるのも、あなたの印象を豊かにします。例えば、春には花の香りを、冬には温かみのある香りを纏うと、自然と季節の移り変わりとあなたが重なり、相手の中に香りと共に四季が流れるように感じられるでしょう。

香水には、その人の物語や想いが込められていると、さらに魅力が増します。香りを纏う理由やエピソードがあれば、相手に少しだけ話してみるのも良いでしょう。例えば、「この香りは旅先で見つけたもので、心が落ち着く」といった一言でも、香りが単なる香水ではなく、あなたの一部として相手の記憶に深く残ります。その香りがあなたの人生や個性を象徴するものだと知ると、相手はその香りとともにあなたを特別な存在として心に留めるのです。

香水を纏うことは、見えない自分自身の一部を相手に伝えることでもあります。香りを通して、自分らしさや想いを表現することで、相手の心に「忘れられない人」として残ることができる。香りと共に記憶に刻まれる、そんな特別な存在になるための小さな魔法を、香水は秘めているのです。





SHO ISHIZAKA/石坂将
フレグランスプロデューサー/株式会社セントネーションズ 代表取締役。
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。